日本昆虫学会2003年度評議員会報告


T.会務報告


1. 庶務報告

1)本年8月20日現在の会員総数は1,425名(一般正会員1,236名,学生正会員53名,海外正会員43名,団体会員65団体,賛助会員17名,名誉会員11名).3年以上の会費滞納者は,正会員28名,団体会員が1団体.
2)大会講演要旨の公開について:J-STAGEによる大会講演要旨の公開を断念し,講演要旨は原稿用紙を用いた従来方式で収集・編集することが書簡評議委員会で承認された.提案理由は以下のとおり.(1) J-STAGEによる大会講演要旨の公開を行っている学会は,現時点では10学会にすぎない.(2) データ提供収入がなくなった現在,本会にとってJ-STAGEの煩雑でコストのかかるシステムを利用して大会講演要旨を公開するメリットはなくなった.(3) 国際文献印刷社のシステムは魅力的であり,今後検討の余地はあるが,J-STAGEによる大会講演要旨の公開を不要と判断すれば,高額の経費を負担してまで採用する意味はない.(4) Web上での大会の参加申し込みや講演要旨登録は,インターネットを利用できない会員への配慮が必要になり,大会事務局の負担が増加する.
3)交換寄贈図書の削減について:本会は,これまで99の機関・個人を対象として会誌の交換・寄贈を行ってきたが,英文誌「Entomological Science」のブラックウェル社への出版委託にともない,本会への英文誌の無料贈呈分は60部のみとなり,それ以上は有償(5,000円)で購入しなければならなくなった.そこで,書簡評議員会で協議した結果,「会誌の交換・寄贈分を現在の99部から50部程度に削減する.削減対象については,執行部と野村図書幹事ほか国立科学博物館の昆虫スタッフで相談しながら決める」ことになった.
4)和文誌「昆蟲ニューシリーズ」のカラー印刷費負担:
 本会の財政事情等を考慮し,和文誌の投稿規定を,全額を著者負担とする英文誌の投稿規定とそろえることが書簡評議員会で承認された.
現行:「カラー印刷に関しては,編集委員会が必要と認めた場合,当分の間2ページまでは実費(現在約5万円/ページ)の半額を,それを越えるページについてはその全額を著者の負担とします.」
改訂後:「カラー印刷については,その全額を著者の負担とします.」
5)日本学術会議第19期学術研究団体の届出
 平成15年3月に日本学術会議第19期学術研究団体の会員候補者,推薦人,推薦人予備者の届出を以下のように行った.
(1) 第4部動物科学研連 会員候補者:日高敏隆,推薦人:加藤義臣,推薦人予備者:大和田守
(2) 第6部農学研連  会員候補者:桐谷圭治,推薦人:安田耕司,推薦人予備者:篠原明彦
6)大学評価委員会専門委員候補者の推薦について:
大学評価・学位授与機構評価事業部から「農学系」分野別評価の専門委員候補者の推薦依頼を受けたので,日本昆虫学会から中国支部評議員の中筋房夫会員を推薦した.
7)ICIPE協会への選出委員の変更について:協会からの依頼に対応し,日本昆虫学会からの日本ICIPE協会への選出委員は,湯川淳一,田中誠二,佐藤宏明の3名とし,日高敏隆氏を委員から解任した.
8)平成15年度学会賞の決定について:平成5月15日に投票を締めきり,開票した.26名による投票(有効得票数48)の結果,以下の2論文が最多の得票数を得,規定によりこれらの論文が本年度の受賞論文と決まった.
Kaneko, S.: Aphid-attending ants increase the number of emerging adults of the aphid's primary parasitoid and hyperparasitoids by repelling intraguild predators.
Shimizu, A. and Ishikawa, R.: Taxonomic studies on the Pompilidae occurring in Japan north of the Ryukyus: genus Dipogon, subgenus Deuteragenia (Hymenoptera) (part 1)
9)(財)国際花と緑の博覧会記念協会が主催のコスモスセミナー自然観察教室〜集まれ昆虫好きな子供たち2003〜」(平成15年7月30日〜8月1日開催)の協賛団体となった.

(庶務幹事 広渡俊哉・前藤 薫)

2.会計幹事報告

1)2003年度中間報告
 日本学術振興会科学研究費補助金研究成果公開促進費(以下,科研費)が採択されず,英文誌をブラックウェル社に委託したことによる支出増によって8月31日現在の残高は500万円となっている.
2)2002年度決算報告
 科研費が採択されなかったが,前年度繰越金が予算より多かったことに加えて,様々な支出削減によって,2002年度は322万円の黒字となった.
3)2004年度予算案
 科研費が収入として見込めないこと,ブラックウェル社委託による支出増を考慮し,会費値上げを前提とした予算を立てざるを得なかった.支出では,2003年度にはなかった選挙費30万円を予算化した.また,各種団体協力金に日本分類学会連合から要請のあった分担金1万円を加え,11万円を計上した.さらに,日本の昆虫1号出版補助40万円と国際昆虫学会参加費補助10万円を基金利子から一般会計へ繰り入れて支出する予算を組んだ.

(会計幹事 平井規央)

3.渉外幹事報告

1)日本学術会議の第18期動物科学研究連絡委員会にオブザーバーとして参加した(別途報告参照).
2)2002年10月29日に日本学術会議講堂で開催された「日本学術会議の在り方」に関する説明会に出席した.
3)2003年2月14日に日本学術会議講堂で開催された「日本学術会議第19期学術研究団体の登録」に関する説明会に出席した.
4)日本学術会議第19期会員の「推薦人会議」が2003年5月13日に日本学術会議で開催され,日本昆虫学会からは推薦人として加藤義臣会員が出席した.投票の結果,会員として星 元紀氏,補欠として馬渡駿輔氏を推薦することを決定した.
 なお,総合科学技術会議(内閣府)で検討されてきた,学術会議の抜本的な改革が近いうちに実施されることとなる.これに伴い,会員の選出方法も変わるので,第19期の会員は途中で任期切れになることが予想される.学術会議の具体的な改革案については
同会議のホームページ「日本学術会議の改革の動向」(http://www.scj.go.jp/arikata/kaikakutop.html)を参照されたい.

(渉外幹事 友国 雅章)

4.図書幹事報告

1)本学会の会誌が国立情報学研究所(情報研)の電子図書館サービスに加入する件について,引き続き検討を行った.出版委託以後の巻(第6巻以降)についてBlackwell社に問い合わせたところ,電子情報化による公開は認められないとの通知を受けた.そのため,会長らと協議の上,以下の3項目に限り,電子図書館に加入することとした.
(1) 日本昆虫学会誌 "昆蟲"第1巻 第1号(1926年)以降 第65巻 第4号(終刊)まで
(2) 日本昆虫学会誌(欧文誌) "Entomological Science"第1巻 第1号(1998年)以降 第5巻 第4号(2002年)まで
(3) 日本昆虫学会誌(和文誌) "昆蟲ニューシリーズ"第1巻 第1号(1998年)以降
 現在,情報研との間で覚書を取り交わし,手続きを進めているところである.
2)会誌"Entomological Science"の,主に海外研究機関,学会との雑誌交換については,出版委託に切り替えた関係上,交換先を削減する必要が生じた.これまで,寄贈5件,海外編集委員への送付7件,雑誌交換93件,合計105件について配布を行ってきたが,これらを50件まで削減しなければならなくなった.このため,アルバイト5名を雇って,最近受け入れた交換雑誌の調査を本年2月27日に実施した.受け入れた雑誌について,雑誌名,交換先,国名,発行年,巻号についてのデータベースを作成した.その結果,この5年ほどの間に,109タイトル,914冊の交換雑誌を受け入れていることがわかった.これを元に,交換先の削減案を作成し,図書幹事と科博のスタッフ4名でチェックした後,会長に提出した.この削減案を作成した基準は以下の通りである.
(1) 科博へ他から(重複して)来ていない雑誌の交換先は極力残す.
(2) 各国の最も重要と思われる送付先については,たとえ最近の雑誌交換がなくても極力残し,国の数はなるべく減らさない.
(3) それでも国を減らさざるを得ない場合,アジア諸国,発展途上国を優先する.
(4) 分類群が限定される交換先(Odonata, Lepidoptera)は削減対象とし,各分類群の学会または個人で対応してもらう.
 この削減案を実行すると,交換先は25ヶ国38件に縮小され,情報収集の面からも,(少なくとも冊子ベースでの)サーキュレーションという点からも著しい縮小を余儀なくされることとなる.

(図書幹事 野村周平)

5.編集委員会報告

1)Blackwell Publishing社への英文誌出版依託の経過について
 2002年3月のB社との契約に基づき,出版に向けての,投稿規定の整備,会員からの投稿促進,日本およびオーストラリアのスタッフとの編集作業にかかる調整などにつとめてきた.第6巻1号の最終原稿を従来より3ヶ月早い2002年10月末に入稿し,規定の期日(2003年3月25日)に発行することができた.以後,3号まで,規定の期日に発行されている.
 全体に作業日程が3ヶ月以上早まったため,6巻1,2号については1号当たりのページ数が大幅に減少したが,編集作業が次第に軌道に乗りつつあり,3号から以前のペースに近くなった.6巻については,総ページ数が契約による510ページをかなり下回ることは避けられない見通しであるが,7巻以降は正常にもどるものと期待される.編集作業の電子化が進められたが,投稿者は概して協力的であり,これまで大きなトラブルはなく,軌道に乗せることができた.
 なお,B社への依託に伴って,オンラインで閲覧できるようになった.
2)編集状況
Entomological Science
(1) 編集経過
2002年(8月21日から12月31日受付分)受付21,受理14,却下3,取り下げ3,未決1
2003年(1月1日から8月31日受付分)受付54,受理19,却下5,取り下げ2,未決28
(2) 印刷状況
5巻4号 7編 391-468ページ,6巻1号 5編  1-56ページ,6巻2号 7編 57-110ページ,6巻3号 11編 111-213ページ
(3) 外国人レフェリー
2002年分: 19編,38人(のべ)中14人(36.8%),2003年分: 52編,106人(のべ)中26人(24.5%)
昆蟲ニューシリーズ
(1) 編集経過 (2002年1月1日〜2003年8月31日)
2002年分: 受付19編,受理16(16編は印刷),却下・無効1,取り下げ1,未決1
2003年分: 受付 7編,受理3(3編は印刷),却下・無効0,取り下げ0,未決4
(2) 印刷状況 (Vol. 6, 2003)
6巻1号(pp. 1-54) 原著4編 (2002年受付)
6巻2号(pp. 55-116)原著6編 (5編は2002年受付,1編は2003年受付)
6巻3号(pp. 117-166)原著2編 (2003年受付),『学会賞受賞論文2編』
(3) 原著論文の分野
2002年分:16編,分類・形態2, 分布2, 生態11, 生理1
2003年分: 7編,総説1,分類・形態2, 分布1, 生態3
(委員長 山根爽一)


6.自然保護委員会報告

 2003年10月10日(14:00〜15:00),東京農業大学厚木キャンパス講義棟2階1201教室において,大原昌宏,郷右近勝夫,佐藤正孝,藤山静雄,八尋克郎,星川和夫,荒川 良,荒谷邦雄(支部順,敬称略)の各委員が出席して開催された.委員長は出席できなかったので,郷右近会員が委員長を代行した.
1)「昆虫類の多様性保護のための重要地域第3集」(石井 実・郷右近勝夫・矢田 脩編)は,郷右近委員が中心となって編集実務を行い,実際には2003年3月に発行され(発行日付は2002年12月31日付け),予約者への発送は6月上旬になった.発行部数は600部,1部2000円で頒布する.なお,今後の企画としては,選定された重要地域のインベントリー(モニタリングの方法も含め)などを検討した.
2)チョウ類(メガネトリバネアゲハ)の輸入規制緩和に関する動きがあるが,研究用の特別許可以外,全面禁止するよう,必要なら防疫法の改正もすべきであろう.この件に関して,石井会長から「移入種対策に関する措置の在り方について」の移入種対策小委員会中間報告案(素案)資料が配付され,法制化のための法案作成段階で骨抜きにならない様に今後見守る必要があるとの意見があった.
3)本大会においては,郷右近勝夫,高桑正敏,佐藤正孝,宮武頼夫,中村慎吾,福田 治各会員に話題提供を依頼し,「昆虫類の多様性保護の現状と課題」というテーマのシンポジウムを3日目の午後に開催する.なお,次年度のシンポのテーマとして,各県単位でレッドデータブックがほぼ出そろった様なので,これに関連付けたテーマ(環境教育と併せ待った)を検討してはどうか,と言う案が出された.
4)学会の将来構想検討委員会の課題のひとつに生物多様性保全への取組みがあり,これに関連して次のような案を検討した.取り組み可能な分類群における生息状況のリスト化.これは最終的には日本昆虫目録のデータベース化と連動する問題であろうが,当面全分類群を対象とするのは事実上不可能.それゆえ,重点種(種群)をリストアップし,それらを県(ローカル)単位で取りまとめる作業をしてはどうか.実行に際しては,5年位を目処にしないと構想のみに終わることが予想される.


7.日本の昆虫編集委員会報告

 10月10日14:00-15:00 (講義棟1階1101教室) 森本桂(委員長),紙谷聡志,宮武頼夫,野村周平,大和田守の各委員が出席して開催された.
1)「平成15年度科学研究補助金(研究成果公開促進費)」に下記2編を申請したが,採択されなかった.
(1) The Inects of Japan, No. 1. Hymenoptera: Bethylidae. M. Terayama.
B5版,291ページ,1000部(市販970部,著者30部),直接経費3,078,180円, 定価(税込)5,250円,1部当たり原価3,078円.(補助申請額1,900,000円).
(2) The Insects of Japan, No. 2. Coleoptera: Curculionidae, Baridinae. K. Yoshihara & H.Kojima. B5版,224ページ,16図版,1000部 (市販970部,著者30部),直接経費 2,852,430円,定価(税込)5,250円,1部当たり原価2,852円.(補助申請額 1,700,000円).
(いずれも九州大学出版会見積もり;原稿料当分なし,著者には30部進呈)
2)2002年12月5日 執筆依頼アンケートを146名に発送 (郵送136名,学内10名),23名から36分類群について執筆受諾の回答を得た.当委員会と評議員会で出版計画の承認を得たので,出版見通しを加えた執筆依頼状を執筆者に発送の予定.
3)岡島秀治氏からアザミウマの原稿到着,700ページ.出版補助の申請を行う予定.
4)出版の見通し:見積もりの直接経費と販売価格をもとに計算すると,当初の売上目標を600部に設定する必要があるので,広告と予約募集を強力に進める必要がある.
5)今後の日程:下記の具体的作業に着手する.
  (1)今年度中に最初の2号を刊行する.
  (2)上記執筆依頼を行い,次号以降の原稿確保に努める.
  (3)広告リーフレットを印刷.会誌などに広告.研究機関,環境アセス関係会社,博物館,各種学会・同好会会員などを対象に予約募集を行う.
  (4)昆虫学会に対して,当初の広告経費と著者30部の負担をお願いし,600部以上
売れた場合に順次学会へ返済する.(2004年度予算として40万円が総会で承認された)

( 委員長 森本 桂 )

8.将来問題検討委員会報告

 将来問題検討委員会は4月15日づけの石井会長の諮問を受けて,諮問のあった3項目について審議を行ってきた.審議を円滑に進めるために,「会計健全化」と「会の活性化」については,ワーキンググループ(以下「WG」)を設定し,WGの結論を全体で討議するという方式をとった.両WGのメンバーは以下の通り.
会計健全化WG:5月11日発足.青木重幸(責任者),小野正人,巣瀬 司,沼田英治,平井規央
会の活性化WG:5月28日発足.市岡孝朗(責任者),広渡俊哉,山根爽一,大原昌弘,前藤 薫
「編集事務局の決定方法」については,全委員からだされた意見を委員長,WG責任者,庶務幹事(広渡委員)で検討し,複数の案に順位をつけて全メンバーに諮ることにした.約2ヶ月半の議論の結果,両WGの結論,編集事務局の決定方法についての委員長提案が基本的に認められたので,以下の答申を作成し,2003年8月14日付けで会長あてに提出した.議論の過程で,日本昆虫学会の性格づけや,中・長期的政策の必要性などについてもいくつかの重要な意見が出された.しかし,本答申では,当面する解決策に限って提案されている.今後審議すべき点や申し送り事項については「W 今後の検討課題」で簡単に述べた.

T.会計健全化のための当面の方策

Blackwell社への出版委託などで支出がかさみ破綻が予想される本会会計の健全化の方策について,会費の値上げが必要か,それ以外にどんな選択肢があるか,を検討した.
1.会計の健全化のためには,毎年度の一般会計の収支をバランスさせることが必要である.
2.現行の会員数,会費での収入の見積もりは以下の通り.
収入合計 11 916 000円
会費収入 10 966 000円,正会員1150x8000=9200 000,海外正会員64x4000=256 000,学生正会員50x4000=200 000,賛助会員22x30000=660 000,団体会員65x10000=650 000,その他の収入 950 000円,出版物売上金* 350 000,英文誌売上マージン** 200 000,広告料*** 300 000,雑収入**** 100 000
*バックナンバーの売り上げおよび学会事務センターの雑誌販売分,**Blackwellの売り上げの8%,***和文誌のみ,****著作権協会からの収入等
なお,科学研究費出版補助金は過去5年間で,2003年度 0,2002年度 0,2001年度 190万円,2000年度 0,1999年度 146万円と,年平均66万円にすぎない.現在はインパクトファクターの数値を書き込むフォームになっているので,少なくともインパクトファクターがつくまでは,ゼロと考えるのが適当と判断した.
3.現行の支出を続けた場合のシミュレーションは以下の通り.
支出合計 14 390 000円
会誌費 11 350 000円,Blackwell出版委託費* 7 700 000,和文誌印刷費 2 000 000,編集費** 650 000,送料 1 000 000.
*1300+160部(契約の最低部数+100)510ページ,**和文誌12万円(2002-2003年度実績平均)
その他の支出 3 040 000円:大会援助金 300 000,各種委員会* 10 000,学会賞賞金 100 000,事務費 100 000,業務委託費 2 200 000,各種団体協力金 100 000,選挙費(x1/2) 130 000,予備費 100 000
*2003年度予算(自然保護委員会 25 000,電子化委員会 52 000)
4.収支バランス
予想収支差は11 916 000円 ? 14 390 000円 =?247.4万円の赤字となる.ちなみに,2003年度は143.2万円の赤字予算で,支出増はEntomological Scienceが年4回ともBlackwellからでることによる,出版委託費増分である.このまま,現在の収支を続けると10年弱で学会基金残高の2400万円はなくなることになる.ゆえに,早急に収支バランスを改善する必要がある.
5.支出をそのままにした場合に必要とされる会費値上げ幅
会費を値上げした場合に,現会員数が維持できると仮定すると,正会員1150,海外正会員64,学生正会員50で合計1264名だから,これらの会員のみ一律に1000円,2000円,3000円値上げした場合の収入増は,それぞれ,126.4万円,252.8万円,379.2万円となる.ゆえに,2000円程度の会費値上げが必要となる.上に上げた一律2000円値上げ案の他に,実施にあたっては,たとえば次のように重み付けをすることも可能である:正会員8000から10000円,海外正会員4000から10000円,学生正会員4000から5000円,賛助会員30000円据え置き,団体会員10000から15000円.
6.支出の削減の可能性
支出を減らす手段としては,a) 和文誌の廃止,b) 学会事務センターの委託経費の削減,の2つしかない.
A) 和文誌の廃止
和文誌を廃止した場合,印刷費200万円,編集費12万円を削減できる.ただし,広告料の30万円の収入が見込まれなくなるので,実質182万円の削減となる.本委員会では和文誌継続をのぞむ意見が強く,また和文誌に載せている会記をON LINEで代替するまでには,もう少し時間が必要と思われる.したがって,和文誌の廃止は考えない.
B) 学会事務センターの委託経費
学会事務センターの業務委託費は昨年度実績で約220万円である.他社のみつもりで100万円程度の額が出ており,業務委託費は100万円ほど削減できる可能性がある.他社への業務委託変更の具体的な手順を検討すべきである.その際に一時的な経費がかかるとしても,特別会計(学会基金)から補填すればよい.
7.結論と提言
2000円程度の会費値上げをすれば,収支はおよそ均衡する.このままでは,学会基金が10年以内に枯渇するので,早急に会費値上げを検討すべきである.現在,学会事務センターへ支払っている業務委託費は高すぎる.他社への業務委託変更の具体的な手順を検討すべきである.

U.会の活性化のための当面の方策

学会を活性化する目的は,より幅広い層からの会員の加入と新しく昆虫学に足を踏み入れる学生の入会を増進することにある.そこで,1.論文の投稿先,あるいは購読対象雑誌として,本学会が発行する二つの雑誌の人気・価値を高めること,2.研究発表,情報交換の場としての本学会の年次大会の魅力を高めることによって学会の活性化がもたらされる,との認識にたって「活性化」の議論を進めた.
以下に,これら二つの目標達成のための具体策を検討した.
1.雑誌の改革
発行する二つの雑誌のうち,英文誌 Entomological Science については,Blackwell 社への販売委託にともなう一連の誌面改革が進行中であること,英文誌の編集体制の改革問題が別個に検討されていることを考慮し,ここでは和文誌の改革について重点的に検討した.
A) 和文誌に,アマチュア研究者,異分野の研究者,大学生・大学院生など初学者の参考になるような,昆虫学の重要な話題をまとめた総説や方法論の紹介記事を継続して掲載することを提案する.
・これにより,和文誌の購読意欲が高まり,未加入の昆虫学関係者や学生の入会を促す効果が期待できる.
・効果を高めるためには,力作が途切れなく掲載されることが望ましい.そのためには,学会執行部との緊密な狭義のもと編集委員会から有力な会員・非会員に執筆を依頼する必要がある.
B) 和文誌に,国際誌の原著論文のレベルには達していないが公表の価値のあるデータ・事実を優占して掲載し,国内の地域研究者や大学生・大学院生など初学者の研究成果の発表の場として,また,埋もれてしまう危険性のある貴重なデータを地道に蓄積するというデータ・アーカイブとしての機能をもたせることを提案する.
・国際(標準)化を指向するEntomological Scienceと役割分担し,和文誌では,論文掲載の可否に関する基準を緩和する.ただし,外国人でも論文の概略が把握可能なように,英文要旨,図表の英文キャプションを充実させる.
・特に,地域の生物多様性保全・インベントリーなどに価値のあるデータや,修士論文・卒業論文などに含まれる記録すべきデータの発表を呼びかける.
以上のような編集方針の変更により,地域研究の活性化を促し,地域研究に携わるアマチュア研究者の会員拡大に良い影響をもたらすことが期待できる.また,今後,ますます重要かつ活発になってくる保全関係者の関心を引くことができる.学生会員の入会促進にも役立つ.
A), B) を実行に移すためには,和文誌編集委員会を独立させるなど体制を抜本的に強化する必要がある.また,ページ数の増加などは,ただでさえ苦しい財政状況をさらに悪化させる可能性がある.しかし,このような困難は前向きに打開していく必要がある.たとえば論文投稿への投稿料や超過ページへの料金設定なども考慮に入れるべきであろう.
C) 会員外の研究者に,本学会の存在意義をこれまで以上に知らしめ,国際的に幅広く認知されるために,一刻も早く,英文誌 Entomological Science がISI社のデータベースに登録され,インパクトファクターが算出される必要がある.そのために,可能な限りの方策を講じなければならない.いたずらにインパクトファクターの高低に一喜一憂する必要はないが,インパクトファクターの値は,雑誌の注目度,掲載論文の平均的な質の高さを示す一つの目安と考えて,質の高い論文の投稿を促す可能な限りの方策を今後検討する必要がある.
2.年次大会の改革
分類学に偏りがちな大会での発表内容を見直し,昆虫学全般にわたるさまざまな分野の研究者・学生が参加・発表を希望するような大会の運営を目指す必要がある.そのための具体的な方策として,
A) 大会の「出し物」が昆虫学全般の領域をなるべく万遍なくカバーするように,学会執行部(あるいは大会主催者)が主導して,様々な分野に関する(シンポジウムなどの)企画をいくつかたて,大会の主要な行事として盛り込む.従来参加者の少なかった分野については,オルガナイザーを依頼するなどして,特に力を入れて企画を主導する.
B) 公募によるシンポジウムの比重を増やし,より広い分野の研究者が企画あるいは参加するシンポジウムの開催を,執行部や主催者が強く呼びかける.
C) 大学院生が主催するシンポジウム,集会などの企画を促す.
D) 日本の学界と関係の深い,東アジア・東南アジアの研究者との交流が深まるような企画を盛り込む.
E) 大学院生のための教育的プログラムを盛り込む.
F) 大会の日時を増やす.
G) 地域研究者,教育者,環境保全関係者との連携を強めるための企画を立てる.
H) 東アジア・東南アジア諸国との学会と,大会を共催することを検討する.
ことなどが,考えられる.
3.その他の活性化策
社会との接点をひろげるために,また,アマチュア研究者の活動を盛んにするために,年次大会とは別に支部会活動の充実を促す.アマチュア研究者が支部会へ参加しやすい環境をどのように整えればいいのかを検討する必要がある.また,支部会レベルで社会に向けた普及活動や啓蒙活動に力を入れる必要もある.
海外の学会との共催行事や海外会員との交流に,本学会がどのように取り組んでいくべきなのかについても,今後さらに検討していく必要があろう.
4.結論と提言
いずれの方策も,学会を運営する側には大きな負担となるが,すでに他の学会に主な活動拠点をもっている分野の昆虫学関係者,発表の場を求めている学生,地域での活動を中心とするアマチュア研究者や環境保存関係者を本学会に呼び込むためには,雑誌・大会の改革は是非とも必要である.
まず,和文誌のおもな内容を,広範な分野の研究者・学生・アマチュア研究者にとって役立つ昆虫学の最新の話題をまとめた総説と,記載的なデータの蓄積を目指すアーカイブの二つとするように,和文誌の編集方針を改めることを提言する.また,学会運営者あるいは大会運営者が主導して,年次大会を分類学中心のものから広範な昆虫学分野を対象としたものに刷新し,特に学生の新規参加者を引きつけるような企画を可能な限り増やすことを提言する.

V.編集事務局の決定方法

編集事務局の決定が難航するのは,昨今の研究者がおかれている状況に照らせば当然のことである.事務局を置ける最低の条件は,1)昆虫学全般に造詣が深く英語能力のある会員が同一大学内(研究所内)に最低3人はいること,2)リサーチアシスタントなどで協力を期待できる博士課程後期の院生あるいはそれに相当する協力者が常時存在すること,である.ここでいう協力者とは,べつに編集業務の協力者という狭い意味ではなく,研究室全体として本務もこなせるよう協力する者,という意味である.
このように考えると,全国を見渡しても候補地はほとんど数えるほどしかない.今後は,評議員会がそのような研究機関4〜5カ所を編集事務局候補機関と認定して,編集事務局はそれらの間での持ち回りにすることを提案する.それによって毎回繰り返される候補地探しの労力や疲労感が軽減され,引き受ける研究機関の側も早くから予定がたつ.基本的にはある程度固定したメンバーの持ち回りとするが,候補機関の認定は毎年新しいデータをもとにしてやり直し,事情に応じて取消や新規加入を認めることとする.単発で引受け可能な機関がでた場合は,1回だけでも参加してもらう,等の柔軟なシステムとする.
上記のような制度を採用すると,会誌発行という本学会の最重要な事業にかかわる負担が特定の研究機関に収集することになる.したがって,編集事務局の負担が抜本的に軽減される保証がなければ実現は不可能である.まず,編集委員のなかの分野別担当者(の長)の責任をより明確にし,編集長と編集幹事は最終的な確認と調整,BW社との交渉に専念できるような体制を確立すべきである.たとえば,分野別編集担当責任者が編集事務局を名乗り著者との直接交渉ができようにすることも,考慮に入れていただきたい.
もし,「会の活性化」でのべたように,将来,和文誌編集委員会を独立させる場合には新たな問題が生じると予想される.本答申では,とりあえず現行の編集員会制度のもとでの改革についてのみ言及するに留めた.

W.今後の課題

今回の議論のなかで,さまざまな検討課題がうきぼりとなった.とくに,本学会がもつ(べき)基本性格について,今後検討すべきことがいくつか出された.もちろん,ある理念にもとづいて長期的な政策をもつべきか,あるいは,変動が激しい不確定な時代にあっては時々に生じる問題に個別に対処したほうがよいのか,意見が分かれるところであろう.しかし,いずれにせよ以下の点については,早急な対応がせまられているのではないであろうか.
1.会員層の分析.関連諸学会との役割分担の実態調査.会員のニーズ調査.
2.インパクトファクター,サイテーションインデックスなどのいわゆる国際スタンダード以外の観点で,Entomological Science誌がいかなる学問的・社会的貢献をなしているかの実態解明.
3.日本社会で国民から認知された学会への模索.それをバネにした,より多面的な社会貢献と事業の開拓.
4.アジアにおける多様性保全や昆虫学の発展にかかわる国際的要請に対応できるシステムの構築.
これらの課題が,次期検討委員会により積極的にとりあげられることを期待する.

(委員長 山根正気)

9.電子化推進委員会報告

1)英文誌のWEB閲覧
 英文誌「Entomological Science」のBlackwell社からの出版にともない,会員のみがオンラインで閲覧できることになった.アクセス方法は次のとおりである.本学会HPの
会員ページ(http://wwwsoc.nii.ac.jp/entsocj/memb.htm)の閲覧の文字をクリックするか,閲覧用URL (http://www.entsoc.jp/member/bwstpsa.htm)をブラウザのURL(WEBアドレス)欄に入力すると,会員(ユーザ)IDとパスワードの入力を求められる.会員名簿閲覧時に求められるIDとパスワードと同じものである.以前会員に通知したものを入力する.クッキーが有効であれば,二回目からは入力の必要はない.ページが表示されたら,Entomological Scienceの表紙のロゴマークをクリックして,しばらく待つ.目次が表示されたら,閲覧したい論文をクリックすれば内容を見ることができる.IDとパスワードを知らない会員は,Eメール(kana@mus-nh.city.osaka.jp 金沢)にてお問い合わせる.
 このシステムは,本学会のレンタルサーバ内の認証ページ(http://www.entsoc.jp/member/)内に入れた者は,学会員であると判断され,Synergy TPS (Trusted Proxy Server) Accessを通過し,Blackwell Synergy のHP(http://www.blackwell-synergy.com/)の本学会英文誌サイトにフルアクセスすることができるものである.
2)本学会ホームページ(HP)の向上
 本学会HPは国立情報学研究所提供サーバ(http://wwwsoc.nii.ac.jp/entsocj/)レンタルサーバ(http://www.entsoc.jp/)の連携により,会員名簿データベースや英文誌閲覧など,他学会にはないような高度な機能を実現している.しかし,更新頻度があまりに少ないページも見受けられるし,掲示板や会員名簿データベースシステム自体にも改善すべき点がある.それらの不備な点を改善するために,庶務幹事とともに検討中である.具体的には,更新の頻度を上げるために,ワーキンググループにメンバーを追加するほか,庶務幹事,支部幹事による直接更新の道を開くことも考えられる.また,会員名簿データベースを含むHPの英文化も進める予定である.
3)優秀ウェブ賞およびワーキンググループの検討
 一昨年(2001年)に提案された,昆虫学関係のWEB賞について引き続き検討を行った.特に反対意見はないので,具体的な検討に入る計画である.提案文は次の通りである.
(1)昆虫学関係ホームページに対する賞の授与
 昆虫学の分野において,近年急速にデータベースおよびホームページの構築による研究が発表され出した.これらの電子化された研究の公表に対して,従来の論文と形態を異にすることから業績評価がなされにくい状況にある.分類学・生態学・生理学においても,既存のデータの集積・整理は極めて重要な基礎作業であり,将来,迅速に研究を進めるためにも充実したデータ構築と公開が必要とされる.一旦,完成度の高いデータベースが作成されると,利用が急速にのび,引用率も高くなり,分野に多大な貢献をすることとなる.しかしながら,現段階では,これらの作業について,業績評価がなされないことから,重要さは認識しながら,取り組むのを躊躇している研究者が多いと考えられる.
 電子化推進委員会では,電子化情報の研究を支援する立場から,優れたホームページ(Web Site)の構築・公開を行った研究者(研究グループ)に対し「○○賞」を設け,年若干名に授与する.
(1) 昆虫学における電子知的財産の恒久的維持のためのワーキンググループの設立
 昆虫学の分野において,近年急速に電子化情報が蓄積されている.昆虫学では標本類の維持管理に関しては多くの方策や議論がなされているが,それと同様に情報の維持管理についても議論がなされるべきと考える.とくにErwin and Johnson (2000)に見られるような,新種記載の補助的役割をするWeb Siteが構築されるようになると,その情報のWeb Site公開に対して,恒久的な維持をするための何らかの方策が求められる.これらの情報は現在,以下の状態で保存されている.管理上の危険度の高い率から順に示す:@個人サーバーを立ち上げた状態で,管理者は1個人である.A公的な機関(大学・博物館・研究所など)のサーバーで立ち上げた状態で,管理者は1個人である.B公的な機関のサーバーで立ち上げた状態で,管理者が複数いる.C複数の公的な機関のサーバーにミラーサイトを構築し,管理者が複数いる.
D出版物として,CD-ROMで配布されている.
 ワーキンググループでは,次の点について,具体的な方策を提示することと,その業務を遂行することが目的となる.
目的
 @昆虫学における既存の電子化情報の所在・(管理上の)危険度の現状把握
 A昆虫学の電子化情報についての情報提供と場の提供
 B昆虫学における電子化情報の保存と管理
業務
 @電子化情報(公開ホームページ)の調査ととりまとめ
 A昆虫学電子化情報に関するニュースの発行
 B既存の電子化情報の選別をおこない,委員会として保存する情報を決め,複数の機関にて保存,公開をおこなう.ただし,公開は制作者が不在のため,それを代行する場合に限る.

(委員長 金沢 至)

10.日本昆虫目録委員会報告

 以下のような2回の全体委員会と6回のワーキンググループ会議を開催し,検討を重ねた.

第3回日本昆虫目録編纂委員会  2002年9月27日(金)
   執筆マニュアルの概要を検討し,各分類群ごとの執筆者の選定状況を確認した.議論の結果,先の第2回委員会において検討課題とされた項目に対して以下のような基本方針が確認された.
 1)「日本」の版図:本目録がカバーする地理的範囲は日本の固有の領土とその近海(海洋性昆虫の場合)とする.固有の領土にはいわゆる北方領土(国後島,択捉島,色丹島,歯舞諸島)及び尖閣列島を含める.2)掲載する昆虫の範囲:基本的には「日本から記録された全ての昆虫の種と(亜種である場合は)その亜種」であり,日本へ自然分布したと考えられる種を対象とし(現時点で絶滅している種も含める),移入を目的として人為的に日本に持ち込まれた種は除外する.3)分類群の配列:種及び亜種はアルファベット順に配列する.属(亜属)以上で科より下の配列は必ずしもアルファベット順にこだわらない.科以上の配列については編集委員会で決定する.
 なお,さらなる要検討課題として,「和名における差別用語の扱い」,「分布の地名表現の統一」等が指摘された.これらの課題の検討を含み,早急な執筆マニュアルの完成のために,三枝委員長と九州支部の上宮健吉,多田内 修,荒谷邦雄の各委員,および自然環境研究センターの岸本年郎氏からなるワーキンググループを立ち上げることを決定した.
日本昆虫目録編纂委員会WG第1回会議 2002年11月25日(月)
日本昆虫目録編纂委員会WG第2回会議 2002年12月12日(木)
日本昆虫目録編纂委員会WG第3回会議 2002年1月16日(木)
日本昆虫目録編纂委員会WG第4回会議 2003年4月19日(土)
 上記4回のWG会議を通じて,先述の検討課題への対応を含む執筆マニュアル原案を完成させるとともに,実際の入力フォーマット,および入力マニュアルの検討とその原案作成も行った.さらに,執筆マニュアルと入力マニュアル以外に執筆者へ送付する執筆依頼書,執筆承諾書などの必要書類の最終案を完成した.

第4回日本昆虫目録編纂委員会 2003年5月10日(土)
   これまでの会議を通じて完成された,執筆マニュアルと入力マニュアル(入力フォーマットを含む)原案に関する議論を行った.検討課題とされた「和名における差別用語の扱い」に関しては,「日本昆虫学会の差別用語検討委員会の答申に基づいて不適切な用語と見なされた部分を含む和名は基準和名として用いない.このような和名しかない場合は,基準和名として新称を用いる.差別語を含む和名は異名として扱う.」との基本方針が確認された.また,執筆者の確定状況を確認するとともに,執筆者へは執筆マニュアルと入力マニュアル以外に同時に送付する関係書類の種類とその内容の検討も行った. 日本昆虫目録編纂委員会鱗翅目WG第1回会議 2003年5月26日(月)
鱗翅目担当の上田恭一郎,杉繁郎両委員と岸本年郎氏による協議の結果,鱗翅目に関しては既往の出版データをスキャンによって取り込み,デジタル化する作業を先行せる方針を決定した.
日本昆虫目録編纂委員会WG第5回会議 2003年8月23日(土) 
 第4回日本昆虫目録編纂委員会の検討内容を踏まえ,執筆マユアル,入力マニュアル(入力フォーマット),および各関連書類の最終体裁を決定し,2003年10月10日(金)開催予定の第5回日本昆虫目録編纂委員会における最終確認と執筆者の確定を経て,各執筆者への送付を実施することを確認した. 第5回日本昆虫目録編纂委員会 2003年10月10日(金)
これまでの経緯を踏まえ,本会議において執筆・入力マニュアル等の内容と執筆予定者を最終的に確定し,本会議終了後に1.「日本昆虫目録執筆」依頼書,2.「同」執筆依頼について,3.「同」執筆依頼者カード,4.「同」執筆マニュアル,5.「同」入力マニュアル,6.「同」編集委員会委員名簿,の各関係書類を執筆予定者に送付することが確認された.議論の結果,以下のような最終方針も決定された.1)原記載の文献に加えてタイプロカリティを掲載項目に新たに加える.2)原稿締めきりは2004年9月末とするが,執筆予定者が約120名と多数である上,分類群ごとに諸事情が異なるので,実際の出版は分冊形式とし,できあがったものから順次発行していく.3)2004年中に最初の分冊(鱗翅目)の出版を目指す.

(以上,文責 荒谷邦雄 委員長 三枝豊平)

11.日本ICIPE 協会に関する報告

2002年度(2002年4月〜2003年3月)報告
1)2003年度ICIPE(国際昆虫生理生態学研究センター)派遣研究者として高須啓志氏 (九州大学大学院農学研究院)の派遣を決定した.
2)研究援助金として,昆虫学会から5万円,応用動物昆虫学会から10万円,衛生動 物学会から3万円の援助金の送金があった.援助金は2003年度派遣研究者への研究支援金30万円に充当した.
3)岩手大学での第47回日本応用動物昆虫学会大会にあわせて3月27日に総会を開き,規約の改正がなされた.なお,新規約は関連学会に送付済みである.

4)関連学会代表委員は次の通り.
    応動昆: 国見裕久,八木繁実,藤崎憲治
    衛生動物:鎮西康雄,千種雄一,佐々木均
    昆虫:  湯川淳一,田中誠二,佐藤宏明
    動物:  日高敏隆,遠藤克彦,桜井 勝
5)岩手大学での第47回日本応用動物昆虫学会大会にあわせて,3月26日に第9回日本ICIPE 協会研究報告会を開催した.
6)2002年度決算(2002年4月〜2003年3月)は以下の通り.
収入  前年度繰越金  1,204,901
    賛助会員       50,000(大日本除虫菊)
    研究援助金        180,000(応動昆10万,衛生動物3万;昆虫5万)
    会費               34,000(2000円×17人)
    雑収入                 28(利子)
    計              1,468,929
支出    派遣援助          300,630(送金手数料630円を含む)
    通信費              2,300(ニュースその他の郵送費)
    総会費             12,000(弁当代)
    計                314,930
現在高 合計            1,153,901(次年度繰越金)
(日本ICIPE協会事務局長 佐藤宏明)

12.自然史学会連合に関する報告

1) 2002年12月7日の総会
(1) 2001年度決算報告および監査報告,2002年度会計経過報告,および2003年度予算案(下表)が承認された.
(2)13時より,自然史学会連合第8回シンポジウム「極域の生物学〜フィールドサイエンスの最前線〜」(国立科学博物館新宿分館)が開催された.
2)2003年2月8日の第1回運営委員会
(1) GBIF国際フォーラム(10月4〜10日,つくば市)に後援団体として協力することにした.
(2) 「自然再生基本方針(案)」に対して,連合として意見書を提出することにした(資料は清水が持参).
3)2003年4月12日の第2回運営委員会
(1) GBIF国際フォーラムのシンポジウムに「生物多様性と博物館地域活動」というタイトルで参加することにした.
(2) 日本進化学会大会(8月初旬,九大)のセッション参加依頼に対して,「ナチュラルヒストリー:物集めと解析と」というタイトルで演者3名を送ることを検討した.
(3) 科研費助成を受けた連合共催シンポジウムについては,霊長類学会の「人間性の起源と進化:霊長類学と人類学との出合い」(2003年6月29日仙台市戦災復興記念館)に対する共催と補助金の公布を決定した.
4)2003年7月19日の第3回運営委員会
次期代表候補について,引き続き加盟学協会に候補者の推薦を依頼するが,運営委員会でも探す必要性を検討しした.
5)自然史学会連合第9回シンポジウム(予測の自然史科学〜未知と未来へのアプローチ〜)が2003年11月29日13時〜17時半に国立科学博物館新宿分館にて開催されるの で,ふるってご参加ください.

収入の部(円)支出の部(円)
分担金680,000シンポジウム開催費550,000
受取利息 500地域博物館アクションプラン120,000
  ホームページ編集維持費300,000
  自然史教育アクションプラン50,000
  自然史研究機関立案アクションプラン30,000
  事務経費50,000
小計680,500小計1,100,000
前年度繰越金1,788,971予備費1,369,471
合計2,469,471合計2,469,471
(自然史学会連合 日本昆虫学会代表 清水 晃)

13.日本分類学会連合に関する報告

1)昨年度の総会・シンポジウムが本年1月,東京新宿の国立科学博物館分館で開催され,決算・予算案ならびに本年度事業計画の審議がおこなわれた.2つのシンポジウムには延べ320人以上の参加者があり,活発な議論がかわされた.
2)本年2月に日本進化学会が新たに加わり加盟学会は計26学会となった.
3)昨年10月に日本分類学会連合ニュースレター2号を,本年5月に同3号を刊行した.これは昆虫学会ホームページにもリンクされている
連合のホームページ(http://www.bunrui.info/)からダウンロードできる.4号は本年10月に発行の予定.
4)日本産生物種数調査については,「日本産生物種数調査委員会」の委員が調査結果を取りまとめホームページに掲載するための準備作業を行っている.
5)今年度の総会・シンポジウムは2004年1月10日(土)〜1月11日(日),東京新宿の国立科学博物館分館で開催される.シンポジウムは1:「移入種と生物多様性の攪乱」,2:「新種記載をスピード・アップする方策を探る」の予定.
6)各学会の分担金については,申し合わせにより徴収を見合わせていたが,活動資金に困難を来すことが予想されるので,2004年度から年額1万円とすることを各学会で検討・準備して欲しいとの要請があった.
 その他の情報については,連合のホームページをご覧いただきたい.

(日本分類学会連合 昆虫学会代表 篠原明彦)

14.日本学術会議に関する報告

日本学術会議第18期動物科学研究連絡委員会(第6部)に関する報告
1)第6回動物科学研究連絡委員会が2003年4月21日に開催された.第18期最後の研連になるので,過去3年間の活動の総括を行い,ガイアリスト小委員会からは16年度に科研費を申請することが,動物飼育施設小委員会からはこれまでの検討事項を次期に申し送ることが,教科書問題小委員会からは「生物科学ニュース」3月号に意見書を掲載したことが報告された.また,今期最大の成果として,博物館ワーキンググループがとりまとめた対外報告書「自然史系・生物系博物館における教育・研究の高度化について」を植物科学研連との連名で提出することが報告された.ちなみに,同報告書は6月24日の運営審議会で承認を受け公表された.
2)上に引き続き,植物科学研連との合同委員会が開かれ,岩槻会員から学術会議の改革に関する現況が報告された(渉外幹事報告の4を参照).

(渉外幹事 友国 雅章)