日本昆虫学会

将来問題検討委員会

日本昆虫学会の将来問題に関して (第一次報告)

1997年11月6日
日本昆虫学会将来問題検討委員会

目次

報告の概要

日本昆虫学会では,わが国における昆虫学の分野の発展をめざし,日本応用動物昆虫学会との合併を通じより総合的で専門性の高い昆虫に関する統合的学会の実現の可能性について,ここ約10年にわたって協議してきた.しかしながらこの動きは,両学会の性格の違いのため,1996年の最終結論としては,断念のやむなきにいたった. 日本昆虫学会は,わが国における昆虫学の啓蒙・普及を推進し,国際的にもすぐれた研究成果の発表の場としてなお重要であり,合併による統合化の可能性がなくなった現在,本学会独自の一層の発展を計らなければならない.日本昆虫学会の果たすべき役割をより効果的かつ強力におしすすめるためには,本学会の改革が必要である.当面,緊急かつ重要な課題として,次の3つを重点的に推し進めるべきである.

  • (1) 学会誌の改革
     学会誌の発行は本学会の機能としてもっとも重要であり,国際性・独創性・緻密性にすぐれ,インパクトの高い論文の掲載のためには,現行の会誌の改革を早期に行うことがもっとも緊急かつ重要である.これらを達成するために,以下のような改革を提案する:
    • (a)現在の会誌を英文誌と和文誌に分割する.
    • (b)英文誌の発行は年4回とする.誌名は Entomological Science とし,Vol. 1, No. 1から始める.サイズはレターサイズとし,表紙のデザインも変更する.埋め草的短報は廃止し,すべての論文が同一の体裁をもつこととする.
    • (c)和文誌は年2回の発行をめざす.現在の会誌(「昆蟲」「JJE」)はそれなりの実績と歴史をもち,この名称を全廃することになお多くの会員の異議があることに鑑み,この名称と歴史は和文誌の方で継承するように努力する.サイズは B5 とする.内容は,原著論文,総説,書評,大会案内,会記,住所変更など従来「昆蟲」に掲載されていたものに加え,英文誌搭載論文の和文要約もふくめることとし,総合的なものとする.
    • (d)上記の改革は次年度(1998年度)から着手する.
  • (2) 財務の改革
     学会のさらなる発展のためには,財政的基盤の整備が重要であり,そのために以下のような方策を提案する:
    • (a)会費の徴収等業務委託を行っている学会事務センターと昆虫学会の会計年度が一致していないことから生じる混乱を防ぐため,学会事務センターからは適宜情報を得る努力をする.
    • (b)学会財政の実情を正確に把握できるようにするため,貸借対照表の適用など簿記の改善をめざす.
    • (c)上記の改善の可能性について,本委員会の任期中に学会長に報告する
  • (3)学会賞(仮称)の設立
    日本昆虫学会における研究の質の向上を達成するため,優秀な業績に対して学会賞の設立をめざす.なるべく早く案を作成し,本委員会の任期中に学会長に報告する.

1.はじめに

1996年に懸案の日本昆虫学会と日本応用動物昆虫学会の合併が断念され,日本昆虫学会ではその存立と将来の発展をめぐる問題を集中的に審議するため将来問題検討委員会(以下委員会とよぶ)の設置が計られた. 本委員会は 1996 年8月に発足し,重要課題についてメール,書面等にて審議を重ねてきた. 1997 年 10 月2日には福岡で第1回の委員会をもち,当面緊急と考えられる3点,すなわち,(1)学会誌の改革,(2)財政の改革,(3)学会賞の設置,について論議し, そのうち学会誌の改革については一定の結論がえられたため評議員会に提案した. その結果,大筋において了承され,10 月4日の日本昆虫学会第 57 回大会(福岡)総会にて学会長から会員に対して提案された. 総会では慎重論もでたが,改革の推進そのものは合意され,また会長の強い決意もあり,来年(1998年)からの改革を目指して,より細部にわたる検討を重ねるべく動き出した. その結果,新しい会誌の名称や実務的な事柄等の具体案の策定に向けて迅速な処理を実施すべく,本委員会のもとに会誌改革ワーキンググループを設置することとなった.

会誌改革ワーキンググループ(以下 WG とよぶ)の構成については,将来問題検討委員長と学会長により委嘱された. 大会最終日の 10 月5日に第1回 WG 会議がもたれ,検討事項の整理と作業分担が決められた. 1997年10 月 24 日に開催された第2回 WG 会議では,新学会誌の発行スケジュール,名称などが審議され, その結論を本委員会の書面会議にかけ会長への報告を作成した.

本報告書は,将来問題検討委員会で討議された問題とその解決策に関する第一次報告であり,1997年11月までの審議についてとりまとめた. なお,本報告書の内容の一部はすでに評議委員会と大会で審議ずみである.

2.日本昆虫学会の現状と問題

日本昆虫学会は「昆虫学の進歩・普及を図ること」を目的に1917年に設立され,学術定期刊行物として「昆蟲(Japanese Journal of Entomology)」を1997年現在,65巻まで発行している. 本学会は昆虫学全般にわたる全国的な学術組織としてはわが国でもっとも古く,本分野の発展に数多くの実績を残してきた. しかしながら,本分野の高度化・細分化・国際化がすすみ,なお学会本来の目的を達成するために,現状を点検・評価すべき時期にきている. とくに,ここ約10年にわたって論議されてきた「日本応用動物昆虫学会」との合併に関して,最終的に両学会員の合意が得られず, 統合の可能性がなくなった現在,日本昆虫学会のさらなる発展のためには独自の改革が必要とされる.

(1)会員数と学会誌の発行状況

日本昆虫学会の会員数は約1.300名で,そのうち約90%は国内の正会員が占め,国外の正会員は約3%,他は名誉会員,賛助会員,団体会員である.なお1997年1月末の会員構成の統計は表1のとおりである.

表1.日本昆虫学会の会員
正会員(国内) 1,186
海外正会員 37
名誉会員 7
賛助会員 14
団体会員 60
合計 1,304

本学会の学術定期刊行誌「昆蟲(Japanese Journal of Entomology:以下"JJE")」は,上記の会員以外に寄贈として92件(国内3件,国外89件)があり,1号あたり計1.396件の発送を行っている.1996年度の「JJE」第64巻の内容は表2のとおりであった.

表2.「昆蟲(Japanese Journal of Entomology)」第64巻(1996年)の内容.
数字は件数、( )内はページ数.
第1号 第2号 第3号 第4号 小計
分類等(分類、形態、生物地理など) 11(97) 13(132) 13(154) 14(107) 51(490)
その他の分野 9(116) 7(75) 7(81) 10(93) 33(365)
同(和文) 1(8) 1(6) 1(4) 2(29) 5(47)
合計 21(221) 21(213) 21(239) 26(229) 89(902)

このように,現行の学会誌は英語論文がタイトル数にして全体の約94%,ページ数では95%を占めている. 内容的には分類関連の論文が占める割合が高く,64巻の場合,タイトル数で約 57%(ページ数で54%)である.

現行の会誌が抱える問題としては,

  1. 分野が分類,しかも記載関連に偏っているきらいがあり,新種の記載だけの論文の中には今なぜその論文が昆虫学会の会誌に発表されなければならないのかという必然性が読み取れないことが多いこと;
  2. Current Contentsに掲載されておらず,学術誌としてのインパクト・ファクターもきわめて低いこと;
  3. 会誌の体裁が地味で,時代感覚にそぐわず,会誌の英名も国際性を感じないこと;
  4. 論文を審査するための編集体制の問題

などがある.

日本昆虫学会では,学会誌の発行が学会活動のもっとも大きな部分を占めており,したがって学会誌を改革し,その質を高めることこそ,今後の会の発展の鍵を握るといっても過言ではない.このことから,本学会誌の改革は急務であり,もっとも優先して取り組むべき課題である.

もとより,学会誌は掲載される論文の「質」でその価値が評価されるものであって,そのため優秀な論文の投稿がまずなによりも必要とされる. 現行の内容が分類学に偏っているのであるのなら,分類学以外の研究者からの投稿を促進させるように,会誌の体質を拡充してきくべきであろう. そのためには,国際学術誌としての評価の向上が必要である.

現行では和文論文は約5%にすぎないとはいえ,英和混載であり,これが Current Contents はじめ欧文スタンダードの学術誌評価にあってはマイナスの要因に働いているという. したがって,国際的な評価を向上させるためには,英文のみからなる学術誌として現行の学会誌を改革する必要がある. しかしながら一方で,和文を学会誌から締め出してしまうと,必ずしも英語に堪能でない会員への知識・情報の普及が疎外され, 大会案内や会記等の事務連絡などに障害がでてくるであろう. そのため,英文誌とは別個に和文誌としての学会誌が必要であり,和文による記事は分離して掲載すべきである. さらに,英文であれ和文であり,より質のよい論文の投稿を促進させるためには,体裁を時代感覚に合ったデザインに変え,編集体制をより充実させるべきである.

(2)財政状況

ここ6年間の財務の動きは総体的に変動が大きく,とくに一定の傾向は見い出せないが,1990 年以降では1991年と1993年の赤字額が大きかった. 例えば,1991年度では赤字額が 1,413,211円となっている.この原因は,収入が当初予算より少なかったこと(繰越金,会費,雑収入,広告料の収入)に起因していると思われる. なお,支出では会誌直接費が当初予算より大きく超過し,差引増減額で -1,096,201 円,また業務委託費も当初予算より超過し,差引増減額で -419,987 円となっている. これらは「次年度繰越金」の差引増減額でまかなわれている.また 1993 年度では赤字額が 1,459,513 円となっている. この原因は,支出の増大にあり,とくに会誌直接費と予備費が例年に比べ著しく大きかったことに起因していると思われる. この年は名簿を予備費により作成しているが,売上が少なく,大幅な赤字を生んでいる. しかしながら,これらの赤字に対しては直ちに解消のための処置が行われている:1つは1992年の寄付金(4,000,000 円)であり, もう1つは1994年の学会基金からの補填である.したがって,赤字が累積的に増大するようなことはなくここ3年間の決算では,収入が支出を上回り, 繰越金は黒字で推移している.1996年からは,会誌直接費の節約が計られ,これが繰越金の増加に大きく寄与している.

3.改革の骨子

(1) 会誌の改革について

  1. 現在の学会誌を英・和文の2種類の学術誌として分離発行する.
  2. 英文誌の新誌名は「Entomological Science」とする.
  3. 和文誌は「昆蟲(JJE)」を継承する.しかしながら,郵政省からの認可の問題 があり,そのままの継承が困難な場合は「新編(n.s.)」とし,新規扱いとして郵政省へ申請する.(ただし,この点については審議過程の留意点,下記 a) も参照されたい)
  4. 英文誌は年4回発行とし,1998年3月に第1巻第1号を発行する.和文誌は年4回をめざし,1998年度は暫定的に2回とし6月に第1号を発行する.現在郵政省から認可を受けている学術刊行物としての取り扱いは,英文誌が誌名変更という形でこれを引き継ぐ.
  5. 英文誌のサイズはレターサイズとし,和文誌は B5 判とする.
  6. 英文誌,和文誌ともに表紙デザインは公募とする.表紙デザインの最終的決定やその他の体裁は編集委員会が責任をもって決めるものとする.
  7. 投稿規定は WG の審議を尊重し,編集委員会が決めるものとする.
  8. 65巻4号(1997年12月発行)には(評議員会と大会報告の他に)次の記事を掲載する.
    会誌変更のお知らせ・投稿のよびかけ・新投稿規定・表紙デザイン応募要項.
    なお,審議の過程で以下のような点が提案あるいは強調された.これらの点に十分留意した上で,新学会誌発行をすみやかに実施されるよう提案したい.
    1. 和文誌は来年度は定形外郵便あるいは宅急便で発送せねばならない可能性があるので,予備費あるいは学会基金から補填するなど会計上の処置が必要であろう.和文誌に「昆蟲」(JJE)という名称を残すことへの会員の要望は大きく,この可能性を最大限追求すべきである.しかし,郵政省との交渉過程から判断して,誌名として「昆蟲」(JJE)を引き継いだ場合,再来年度以降も郵送料金の減免をうけることが困難であることも予想される.とりあえず来年度は「昆蟲」(JJE)を和文誌として発行するが,来年度大会において事情を十分に説明した上で,思いきって誌名変更を検討することをも考慮に入れていただきたい.
    2. 質の高い論文を集めるため,英文誌への会員外投稿や招待論文の募集を積極的に行っていただきたい.会員外投稿はチャージをとるにしてもできるかぎり安くおさえるべきである.
    3. 論文は分野ごとに配列し,目次には分野名を示す項目をいれるなど,分かりやすさとアピール性を追求していただきたい.
    4. 現在,投稿原稿が不足ぎみであるうえ,英文誌化によってページ当たりの文字数がふえるため,さらに原稿が不足する可能性がある.会員による積極的投稿を呼びかけるとともに,編集部は質の高い原稿を確保するため特段の努力をされたい.また,来年度から文部省への補助金申請にあたって総ページ数を減らすことも検討していただきたい.
    5. 和文誌は,会の様々な情報を掲載するとともに,原著論文を日本語で書きたい会員がすぐれた研究を発表する大切な場である.近い将来に年4回発行をめざし,魅力ある雑誌にするための方策を立てていただきたい.
    6. 英文誌化しスタイルを一新しても,それだけで様々な分野のすぐれた論文が多数集まるとはかぎらない.Current Contents への採用を始め,学術誌としての客観的評価(インパクトファクターなど)の点で目にみえる向上を果たすことが,今後の発展には不可欠である.当面は,Current Contents に採用されるための基準をクリアーすることに全力をあげ,早期に申請することを期待する.
    7. 最後に,会誌は全会員のもである点を再度認識し,会員からの要望・批判を常時とりこみ改革に生かしていく体制を確立していただきたい.

(2) 財政について

財務の変動をおさえ,赤字を避けるためには,適切な予算策定が必要であり,とくに会誌直接費は,支出の大部分を占めていることを考慮すると, 入札制などによる印刷費の低コスト化は重要であろう.また新規事業に関しては,コスト-ベネフィットを見極めた上で慎重に企画する必要がある. 全般的には財政については,必ずしも悲観すべき現状ではないが,学会のさらなる改善・充実を計り,あらたな発展のための改革を断行するにあたっては, 財政的基盤の整備が重要でる.そのために以下のような方策を提案する:

  1. 会費の徴収等業務委託を行っている学会事務センターと昆虫学会の会計年度が一致していないことから生じる混乱を防ぐため,学会事務センターからは適宜情報を得る努力をする.
  2. 学会財政の実情を正確に把握できるようにするため,貸借対照表の適用など簿記の改善をめざす.
  3. 上記の改善の可能性について,本委員会の任期中に学会長に報告する

(3)学会賞(仮称)の設置について

学会の活動をより活性化させ,研究の質の向上を促進させるために,優秀な業績に対し学会賞を設けることが有効であると思われる. すでに,多くの学会が何らかの形の学会賞を設けており,会員の研究活動を促進させることに貢献している. 本学会においても適切な評価システムが確立されると,若手研究者の育成や,学会誌への質の高い論文が投稿されることが期待される. 本委員会では,学会賞問題に関するワーキング・グループを設置して検討をすすめてきたが,現時点では何らかの形の賞を設けることで意見が一致している. その中でも,とくに論文賞設置を求める声が大きい.本委員会では,来年の7月までに見解をまとめ学会長に報告する予定である.

4.会誌改革に関する資料

(1)将来問題検討委員会の構成

[委員長]山根正気 (鹿児島大学);[委員]青木重幸( 立正大学),石井 実 (大阪府立大),緒方一夫( 九州大学),加藤義臣(国際基督教大学),上宮健吉(久留米大学),佐々木正己( 玉川大学),嶌 洪 (九州大学),田中誠二( 蚕糸昆虫農業技術研究所),友国雅章(国立科学博物館),内藤親彦(神戸大学),中筋房夫(岡山大学),中西明徳(兵庫県立人と自然の博物館)  なお、本委員会のもとに、学会誌の改革を重点的に審議する会誌改革ワーキンググループが設けられた.構成は以下のとおり: [代表]山根正気(前掲);[メンバー]緒方一夫(前掲),佐々木正己 (前掲),嶌 洪 (九州大学),友国雅章(前掲),中西明徳(前掲),西田律夫(京都大学農学部),湯川淳一(九州大学農学部);[オブザーバー]三枝豊平(学会長,九州大学),上宮健吉(庶務幹事,前掲)

(2)昆虫学会の財政に関する資料

(省略)

(3)会誌改革に関する資料

(会誌改革ワーキンググループによる答申、『日本昆虫学会の会誌改革に関して』(1997年11月5日)より抜粋) はじめに  日本昆虫学会のより一層の充実と国際的な地位向上を目指して,1997年10月4日の日本昆虫学会第57回大会(福岡)総会にて学会会長から会員に対して,日本昆虫学会将来問題検討委員会により審議された本学会の改革案が説明された. 将来問題検討委員会では学会誌の改革を重点項目としてとりあげた.現行の学会誌(「昆蟲 Japanese Journal of Entomology」)はそのほとんどが英語論文からなるものの,日本語論文や大会案内,会記等の和文による記事も掲載されている.英文と和文では,対象とする読者が異なるケースもあり,国際的な学術誌としての学会誌の地位向上を目指すのであるなら,これらは分離して出版すべきであるとの合意を得た.このような審議をふまえ,総会において緊急かつ重要な問題として,次年度(1998年度)からの英・和分離による新学会誌の発行を提案したが,この問題を集中的かつ迅速に審議・処理する会誌改革ワーキンググループ(以下WGとよぶ)を設置することが決定された.

WGの構成については,将来問題検討委員長と学会長との協議により選定され,7名のメンバーが指名された.大会最終日の10月5日に第1回WG会議がもたれ,(1)英文誌と和文誌の分離発行,(2)来年度(1998年度)からの開始,という前提のもとで検討事項の整理と作業分担が決められた.1997年10月24日に開催された第2回 WG 会議では,新学会誌の発行スケジュール,名称などが審議された.

本報告書は,10月末までに行われた2回の WG 会議と e-mail 等での討議をふまえて学会誌改革についてとりまとめたものである.

  1. 会誌改革ワーキンググループの構成
    (省略)
  2. 審議経過

    10月5日に九州大学六本松キャンパスにて第1回の会合をもち,取り組むべき課題とメンバーによる基礎情報収集等の役割分担を行った(オブザーバーとして三枝豊平会長が出席した).その結果は次のとおり:

    1. 会誌の内容・体裁・編集等に関する問題
    2. 会誌発行にかかわる経費,現在受けている補助措置等の問題
    3. カレント・コンテンツ,インパクト・ファクター等の会誌の評価に関わる問題
      10月24日に九州大学六本松キャンパスにて第2回の会合をもち,会誌の発行に向けての具体的素案を作成した(オブザーバーとして三枝豊平会長,上宮健吉庶務幹事が出席した).以下は審議事項である:
    4. 文部省との予備折衝報告
    5. 出版経費について
    6. 送料について
    7. 誌名について
    8. 表紙デザイン/体裁等について
    9. 投稿規定について
    10. インパクト・ファクター等について
    11. その他(タイムテーブル等)
    なお,上記の会合以外にメール等によりWGメンバー相互のやりとりを行った.
  3. 結論
    1. 英文誌の新誌名は「Entomological Science」とする.
    2. 和文誌は「昆蟲(JJE)」を継承する.しかしながら,郵政省からの認可の問題 があり,そのままの継承が困難な場合は「新編(n.s.)」とし,新規扱いとして郵政省へ申請する.
    3. 英文誌は年4回とし,1998年3月に第1巻第1号を発行する.和文誌は年4回をめざし,1998年度は暫定的に2回とし6月に第1号を発行する.現在郵政省から認可を受けている学術刊行物としての取り扱いは,英文誌が誌名変更という形でこれを引き継ぐ.
    4. 英文誌のサイズはレターサイズとし,和文誌は B5 判とする.
    5. 英文誌,和文誌ともに表紙デザインは公募とする.表紙デザインの最終的決定やその他の体裁は編集委員会が責任をもって決めるものとする.
    6. 投稿規定は WG の審議を尊重し,編集委員会が決めるものとする.
    7. 65巻4号(1997年12月発行)には(評議員会と大会報告の他に)次の記事を掲載する.

      ・会誌変更のお知らせ ・投稿のよびかけ ・新投稿規定 ・表紙デザイン応募要項.  なお,審議の課程で以下のような点が提案あるいは強調された.これらの点に十分留意した上で,新学会誌発行をすみやかに実施されるよう提案したい.

      • 和文誌は来年度は定形外郵便あるいは宅急便で発送せねばならない可能性があるので,予備費あるいは学会基金から補填するなど会計上の処置が必要であろう.和文誌に「昆蟲」(JJE)という名称を残すことへの会員の要望は大きく,この可能性を最大限追求すべきである.しかし,郵政省との交渉過程から判断して,誌名として「昆蟲」(JJE)を引き継いだ場合,再来年度以降も郵送料金の減免をうけることが困難であることも予想される.とりあえず来年度は「昆蟲」(JJE)を和文誌として発行するが,来年度大会において事情を十分に説明した上で,思いきって誌名変更を検討することをも考慮に入れていただきたい.
      • 質の高い論文を集めるため,英文誌への会員外投稿や招待論文の募集を積極的に行っていただきたい.会員外投稿はチャージをとるにしてもできるかぎり安くおさえるべきである.
      • 論文は分野ごとに配列し,目次には分野名を示す項目をいれるなど,分かりやすさとアピール性を追求していただきたい.
      • 現在,投稿原稿が不足ぎみであるうえ,英文誌化によってページ当たりの文字数がふえるため,さらに原稿が不足する可能性がある.会員による積極的投稿を呼びかけるとともに,編集部は質の高い原稿を確保するため特段の努力をされたい.また,来年度から文部省への補助金申請にあたって総ページ数を減らすことも検討していただきたい.
      • 和文誌は,会の様々な情報を掲載するとともに,原著論文を日本語で書きたい会員がすぐれた研究を発表する大切な場である.近い将来に年4回発行をめざし,魅力ある雑誌にするための方策を立てていただきたい.
      • 英文誌化しスタイルを一新しても,それだけで様々な分野のすぐれた論文が多数集まるとはかぎらない.Current Contents への採用を始め,雑誌の客観的評価(インパクトファクターなど)の点で目にみえる向上を果たすことが,今後の発展には不可欠である.当面は,Current Contents に採用されるための基準をクリアーすることに全力をあげ,早期に申請することを期待する.
      • 最後に,会誌は全会員のものである点を再度認識し,会員からの要望・批判を常時とりこみ改革に生かしていく体制を確立していただきたい.
注)本報告は会長に答申された原文を,付図等を省いて執行部で一部編集したものです.なお,本文は「昆蟲」(JJE) 65巻4号に掲載されています.

将来問題検討委員会(2017-18年)

委員長
市岡孝朗
委員
(分類学等)小西和彦、舘卓司、丸山宗利
(生態学等)市岡孝朗(委員長)、大島一正、杉浦慎治
(生理学等)小野正人、後藤慎介、三浦一芸